「オルタナティブコミック」 とは何か?
自称オルタナ漫画家のハル吉が分かり易く解説します!
ウィキペディアによると、
1960年代終わりから1970年代初めにかけてのアンダーグラウンド・コミック運動の結果として、およそ1980年頃からアメリカ合衆国で出現した、一群の漫画作品を示す複数の呼称の内の一つである。典型的なオルタナティヴ・コミックは、一人の作家の単独作業によって制作され、成人読者を対象とし、しばしば実験的な作風を取っている
椎名ゆかりの記事によると、
「全国紙に連載されているコミックストリップではなく、大手コミックス出版社DCやマーベルから出ているスーパーヒーローものでもない、作者オリジナルのコミックスのこと。一般に作家性の強い文学的作品を指す場合が多いとも考えられるが、出版形態によってはエンターテイメント性の高い作品も含まれる。」
へ~、つまりどういう事よ!? つまり、「マイナー」「アングラ」って事だろ、一言でいえば。分かりにくい単語を分かりにくい文章で説明してどうする? オレみたいなバカにも分かるように説明してよ~。
じゃあ、なんで「マイナーコミック」「アングラ(アンダーグラウンド)コミック」って言わないかっていうと、単語「オルタナティブコミック」はアメリカ発祥だけど、アメリカってポリティカリー・コレクト(意訳:差別用語に敏感)の国なの、だから「マイナー」って言っちゃうと、じゃあ、何か、同じ漫画なのに「メジャー」とか「マイナー」とか差別すんのか、と。あともう一つ「マイナー」には「未成年」って意味もあるから、例えば世界の紛争地をルポするジョー・サッコ(オルタナ漫画の代表)の漫画は「未成年向け」かってことになる。むしろ大人向けだ。
では次に「アンダーグラウンド」はどうだ?「アンダー」(下)って失礼だろ、みたいな。「マイナー」もダメ、「アングラ」もダメ、さてどうするか、そこで「別の」って意味の「オルタナティブ」が出て来る。これなら差別用語じゃない!メデタシ・メデタシ。アメリカがどの位差別用語に敏感かを示す一例として、アカデミー賞をあげてみよう。以前は「勝者は○○です!」って言ってたのに、じゃぁノミネートされたのにトロフィー取れなかった人は敗者なのか?負け犬なのか?それは良くないって事で最近は「トロフィーは○○に行きます!」って変えた。これなら差別用語じゃない!黒人俳優がプレゼンターには成れても決して賞は取れないが、そんなのはお構いなしだ。
こういう背景事情にも触れてくれれば、ただオルタナティブって単語の字義や内包する範囲を解説するよりも良いと思うんだけどな。
もう一つ分かり易い例えをしてみようか。音楽のジャンルでオルタナティブ・ロックってのがある。で、「オルタナティブ・ロック」とは何か?と聞かれたら、あなただったらどう答える?「全国的に知られているロックではなく、大手レーベルから出ている大御所ものでもない、ミュージシャン・オリジナルのロックのこと」とか言うか?オレなら「マイナーなロック」って言うね。
問「ソニック・ユースってどんなの?」
答「マイナー(アングラ)なロック」でいいだろ(笑)
*ソニック・ユースは超メジャーだって言う一部の突っ込みはここでは置いておく。別にハーフ・ジャパニーズでもいいし。
だから、「オルタナティブコミック」ってどんなの?って訊かれたら「マイナーな漫画」とか「売れ線じゃない漫画」って答えればいいんじゃね? 「雑誌なら『アックス』『コミックビーム』あたりだねー」と付け加えれば更に分かってもらえるだろう。