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2011年7月4日月曜日

原発絵画「晴れる日は来る」


やっと絵を描き終わった。タイトル「晴れる日は来る」
B1サイズのイラストボード(1030mm X 728mm)四枚使用で合計すると横2060mm縦1456mm(約2メートルX1.5メートル)。
アクリル、ネオカラー、墨汁、ボールペン使用。
クリックで拡大します。

写真では解り辛いが音符と唐草模様にはパールカラーを混ぜているので少しキラキラしてオシャレ(笑)


[左上部分]


[左下部分]
DJ猫ゴッシーも出演中!

[右上部分]


[右下部分]

こんな絵なら誰でも描ける!と思ってもらいたいので詳細に製作過程を説明する。
興味ある人は[もっと読む]をクリック!
さてそれでは始めようか。クリックすると多少拡大するぞ。


まずは下絵(A4サイズぐらい)。東北地方太平洋沖地震、原子力発電所崩壊、放射能汚染、黒い雨、東京電力が放射能汚染水を海洋投棄、「安全だ」と嘘を言い続ける政府と東京電力、まだ原発を続けようとする自殺行為に等しい政策、放射能と言えばゴジラ、日本の国旗、そして我がアイドルDJ猫ゴッシー等をイメージした。

また少し即興と言うか、何か描いてる途中で思い浮かぶかも知れないと思って空白を多めにしていざ、イラストボードに描き始める。

画材の世界堂でイラストボードB1サイズ(728mm X 1030mm)四枚を買って家で並べてみたら、一枚だけ材質が違った!左下イラストボードだけ色が違うの分かるかな。誰だ、間に別種を挟んだ奴(笑)。交換に行くのも面倒なのでそのまま続行!

日の丸を普通のコンパスで描こうとしたが、開ききっても届かない大きさなのでフリーハンドしてみたが失敗。製図用コンパスがあれば楽なんだろうけど、無いので中心点から26cmの所に点を売っていって円を作る。

左端の骸骨を描く。『人体解剖図』二見書房を参照。図版が多くて読んでも楽しい一冊。

絵全体を赤で統一するため下絵も赤芯(消せるやつ)を入れたシャープペンで描く。絵の上手い人は黒鉛筆で下書きしても黒を消すように赤を塗れるが、オレは下手だからどうしても黒の下絵が残りそうだったので初めから赤で描いて見た。うーん、、、ただし色が薄くてちょっと不便。


死神のイメージなので鎌を持たせる。

次は左上。蓄音機を描く。画像はグーグル検索で。


オレ的自殺行為のイメージはやっぱ拳銃自殺。写真は映画『地獄の黙示録』製作中のコッポラ監督。プリントアウトした紙とイラストボードに桝目を書いて、分かりやすくして描く。


左上「原発は安全です」のレタリング。ボード上で何センチぐらいの幅と長さするか決めて、パソコンでその大きさに合うよう文字を作ってプリントアウトしてみる。

サイズがOKだったので切り抜く。


並べて見る。よしよし、、、、あれっ、徐々に大きくなるようにしたはずだが……

大きくなるようにパソコンで修正してもう一度プリントアウト。今度は大丈夫だ。

後で綺麗に剥せるようにマスキングテープで文字を貼る。

剥したら、テープが邪魔になっていた部分を書き足す。

さて絵の左下に入る。ゴッシーの写真と以前に描いたゴッシーイラストを参考に。ここでも写真とイラストボードに桝目を書いて、分かりやすくしてから描く。

ゴッシーはいつ見てもかわいい。

レコードプレーヤー、コロンビアGP-3を描く

ヴェスタックスのハンディトラックスを描く

もちろん見ながら描く。

この時点ではまだレコードラベル部分に入れる文字や流れてくる歌詞は決めていなかった。

赤は退色しやすいのをふと思い出したのでビニールシートをかけて光りを当てないようにしてみたが、効果の程は不明。

六畳一間のアパートでB1イラストボードが4枚(約2メートルX1.5メートル)置けた奇跡。

福島第一原発を描く


骨組みって難しい。


ゴジラを描く


右半分に移ります。同じように桝目を引いて描きます。

拳銃も難しい




さて、ラフ段階では未定だった右側の端。左端の骸骨と対照的な配置になるようなものを、と常に思案しながら、他の部分を先に描いていたがふと、本棚にあった『インド神話入門』長谷川明が目に留まり、パラパラめくると破壊神シヴァを発見。左端の髑髏死神に対して右のシヴァ破壊神、これはいいと思った。しかももう少し調べるとシヴァ神は日本の大黒様である事が分かったので、東京電力は金のなる木である原発を大黒様と見ているだろうが、実は破壊神なのだという二重の意味を込めてシヴァ神と大黒様が混じった絵を描く事にした。


シヴァ神は打ち出の小槌を持ってないので他の文献(『印刷博物館企画展図録-引札-』)から引用。

額にある第三の目がシヴァ神の特徴。不気味で腹黒い大黒様にするため顔はエイフェックス・ツインのアルバムジャケットを参考にした。

モンペを穿かせてみた。この時点では普通の足。

ふと原子炉を履かせたら面白いんじゃないかと思った。

錫杖を円マークにしてみた

札束を持たす

一万円札を見ながら描く。

はいできました。

続いてもう少し下の部分に移る。ここもラフ段階では決まっていなかったが、左半分のDJゴッシーと対照的な物にしたかった。数年前にコスプレ(?)した写真があったのを思い出しプリントアウト。

いつものように桝目を引いて描きます。




絵柄もそのまま模写しても良かったが、やはり原発に関連した物の方が良いと思い、そこで浮かんだのが以前好きだったメタルバンド、ニュークリアアソルト。そのTシャツ絵柄をプリントアウトして見ながら描いた。

右上部分に移る。汚染水を海洋投棄する東京電力をイメージして「うんこポーズ」などで画像検索したのが上のプリント。しかしいずれも振り返り気味で背中が見えないので「女性、背中」などで画像検索したのが下のプリント。なぜ背中が必要かというと刺青風に「TEPCO VS IAEA」と入れたかったから。

こんな感じになりました。


さて真ん中の日の丸の下部分。前述の本を参考に描く。本から腕が生えている絵柄。


腕が出てくる本は『朽ちていった命』に決定。これも原発関連本、薄いが実に内容の濃い名著。
ついでに昔書いたレビュー。
『朽ちていった命』 NHK「東海村臨界事故」取材班 (06 新潮文庫)
おれはモルモットじゃない
99年核燃料加工施設で致死量8シーベルトを超える20シーベルトの中性子線を浴びた作業員大内久(35)を必死になって治療し続けた83日間のドキュメント。当初は見た目に変化も無く挨拶できるくらい意識もしっかりしていた大内だが11日目には人工呼吸器を付け皮膚が剥がれだす(放射線により染色体が破壊されているので新しい細胞が生み出されず激痛が走る[火傷状の赤黒くなった写真有])。27日目腸の粘膜が死に消化も吸収もされず水分もそのまま流れ出る。一ヶ月が経過、皮膚の剥がれた所から出血し体液が染み出し、眼からも出血。全身が包帯とガーゼで包まれミイラ状態に(指はくっついてしまわないように一本一本巻かれている)。皮膚の移植も染み出す体液のため浮いてしまい生着しない。50日目一日10リットルの水分が体から無くなり常時塩酸モルヒネの100倍の鎮痛剤点滴を受ける。医療チームももはや手詰まりになり積極治療から現状維持が精一杯になる。大内は「言葉で語るには軽すぎるとしか言いようが無い」状態になり59日目ついに心停止、腎・肝機能停止。対光反射も消失し、もはや昇圧剤のみによって血流を維持されてる状態になり83日目に死亡する。
関わった看護婦の一人は言う「大内さんだけでなく、患者さんはどんな状態、どんな状況であっても、生きたい、死にたくない、生きたいと、きっと思っている。~(中略)~自分ができる医療を一生懸命していきたいと思いました」
もう一人の看護婦は言う「大内さんのためではなくて、大内さんのつらさなど何もわからないような人のために、自分は大内さんを生かす手伝いをしてしまったのではないか~(中略)~無理やり生かさせてしまった一因になったのではないかと思う」



 大分出来てきました
部屋が狭い

放射性物質を含む黒い雨が降ると言われるので、黒で書く(笑)。創造性の欠片も無いな、オレ。

時間がかかる。

やっと左半分の雨を描く。


右下のブラックメタルDJから流れる歌詞を考えてプリントアウトしてみた。最初に出したのが下の方、小さすぎたので大きくして出し直したのが上。

切抜きします


 配置したらマスキングテープで仮止め。

多少直しを入れます。

海洋汚染で死んでいく魚を描く。『something fishy this way comes』 Ray Trollの画集を参考に。


ゴッシーのレコードプレーヤーから流れる歌詞を考えてプリントアウト。


背景文様として音符を描くが、ここの部分だけ五線紙を書いてゴジラのテーマを記譜した。作曲家の伊福部昭に敬意を表する。
ちなみに昔描いた伊福部昭ポスター


さて話を戻して左上の蓄音機から流れるように音符を描いていく。


やっと下絵が完成。

いよいよ色を塗ります。


骸骨は描くのも塗るのも難しいです。




ちなみに色は猩々緋というアクリルガッシュで暗い赤、小豆っぽい赤色です。

ラベルを「日本激震」に。そのまんまやな。

ゴッシーは何度見てもかわいい。

表紙の文字を白抜きにしてみる。手が震える。



刺青風にするためボールペンで点描する。


しかしボールペンが水性だったため、絵の具を塗ったらにじんでしまった。




煙を吐いてます。

これも筆では不可能と判断し耐水ボールペンで描く。

日の丸の赤はネオカラーを使ってみた。十年以上振りにふたを開けたがまだ完全に使えて嬉しい。


鉄骨の隙間を塗るのが辛い。

 いい感じです。


金属や人間は難しいなぁ。





ブラックメタル風なロゴにしてみた。


足に影を付けてみる。

帯を塗る。

右側もラベルタイトル決定。これまた創造性の欠片も無い。

魚はうろこを描くのが大変だ。

死んだ感出す為、目を白く。

文字はネオカラー使用。



音符はパイロ-ルレッドとパールレッド(だったかパールピンク)を混ぜたので微妙にキラキラしてオシャレ。


汚染水を日本的に表現する為唐草文様にしてみた。



右端上部分の空白が気になったので黒雨を追加。

たぶん普通は薄い黒を塗ってから濃い黒を塗るんだと思うが。そうすると濃い黒を塗る位置が分からなくなるので最初に濃い黒を塗った。下手な証拠ですな。
黒は日本的なイメージが出るかと思い墨汁を使ってみたが、そうでもなかった。塗り方の問題だろうけど。


おーーーっっとここで衝撃!筆荒い箱をぶったおしてしまった。バスタオルで急いで拭く。




ほぼ完成

部屋が狭いってさっきも言ったな。

鉛筆の汚れが薄い膜のようになっていたので消しいく。無印で売ってるペン型消しゴムが凄く良い。

にじんでしまった刺青部分をネオカラーで点描し直す。緊張する。

はいーーーーっ!やっとやっとやっと完成です!!!
















ってな感じで、また次回。めっちゃ疲れた。